<FONT SIZE="1">灰色の貴方へディルアーングレーイ が大好きな大学一年生。 「アニメおたく」とか「小説おたく」とかじゃなくて、基本属性がおたく。 ちょっとでも気に入って頂けましたら、ポチっとしてやって下さい。大変励みになります。→<a href="http://blog.with2.net/link.php?78787"target="_blank"><img src="http://blog8.fc2.com/s/saku0304/file/banner_02.gif" border="0"></a> こちらも是非→<a href="http://www.webclap5.com/cgi-bin/clap3/clap.cgi?3-aestheticism" target="_blank"><img src="http://blog8.fc2.com/s/saku0304/file/nekochan.gif" alt="web拍手" border="0"></a> <a href="http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=U2PGI+4ASQ2A+APA+HWXLD" target="_blank"> <img border="0" width="88" height="31" alt="" src="http://www20.a8.net/svt/bgt?aid=050514786260&wid=001&eno=01&mid=s00000001387003009000&mc=1"></a> <img border="0" width="1" height="1" src="http://www16.a8.net/0.gif?a8mat=U2PGI+4ASQ2A+APA+HWXLD" alt=""> <font size="1">……なんか…… HPに広告載せるだけで儲かるのって、良いですね☆ がっつり稼いで悠々生活、ああ確かにこれなら儲かるわ?な極意満載。 <a href="http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=U2GTC+41V7ZM+8GQ+HWPVL" target="_blank"> <img border="0" width="120" height="60" alt="" src="http://www27.a8.net/svt/bgt?aid=050503584245&wid=001&eno=01&mid=s00000001097003008000&mc=1"></a> <img border="0" width="1" height="1" src="http://www10.a8.net/0.gif?a8mat=U2GTC+41V7ZM+8GQ+HWPVL" alt=""> <FONT SIZE="1">eブックオフ……日本最大のオンライン中古書店。欲しい本等ありましたら、是非ご活用を☆2000円以上の買い上げで送料無料になります。 ちょっと自分で買いに行くのは恥ずかしい時に良いですね(笑)コンビニ受け渡しも選択可能です。かなりおススメ。CDのラインナップも充実! <a href="http://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=U0UW9+8SQMLU+HPI+HVNAP" target="_blank"> <img border="0" width="100" height="60" alt="" src="http://www29.a8.net/svt/bgt?aid=050428521532&wid=001&eno=01&mid=s00000002295003003000&mc=1"></a> <img border="0" width="1" height="1" src="http://www16.a8.net/0.gif?a8mat=U0UW9+8SQMLU+HPI+HVNAP" alt="">最近話題の電子書籍を購入できます。 本は持ち歩かないけどノートパソコンは持ち歩くよって方は、安価でDL出来るので是非☆この機会にデカダンの巨匠・太宰作品でも読んでみては??どうやら無料で本が出せたりもするらしいです。 </FONT><!-- バナー(FC2 Affiliate) ここから --> <a href="http://cnt.affiliate.fc2.com/cgi-bin/click.cgi?aff_userid=11530&aff_siteid=10886&aff_shopid=1" target="_blank"> <img src="http://cnt.affiliate.fc2.com/cgi-bin/banner.cgi?aff_siteid=10886&bid=43&uid=11530" width=120 height=60 border=0></a> <!-- ここまで --><font size="1">私がお世話になっているFC2ブログの方で、AS募集中だそうです。広告掲載で御小遣いゲットだぜー</font>
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※!attention!※


このブログは、管理人「椅子(いこ)」が読んだり観たり聴いたりしたものを紹介する所謂レビューブログです。
ただつまらなかったものは書かずにお奨め出来るものだけ書いて行く心算ですので、嗜好が似通った方の参考になればなあと思っております。

ご参考までに管理人は
耽美・退廃・レトロ・ミステリ・ホラー
と言ったものを溺愛する傾向にありますので、紹介する作品も自ずとそう言った作品になるかと思われます。更に非常にマイナー嗜好です。
あっあと管理人は同性愛が好きです!所謂腐女子です!あしからず!

そんな訳で了承してくだすった方はどうぞ。以下にお品書きのようなものを置いておきます。


◆小説◆
絢爛たる屍 / ポピー・Z・ブライト
暗闇の囁き / 綾辻行人
この闇と光 / 服部まゆみ
スカイ・クロラ / 森博嗣
東亰異聞 / 小野不由美
家畜人ヤプー / 沼正三
孤島の鬼 / 江戸川乱歩
薔薇への供物 / 中井英夫
昭和幻燈館 / 久世光彦
六道ヶ辻 墨染の桜 / 栗本薫
鬼火 / 横溝正史
限りなく透明に近いブルー / 村上龍
微笑 / 横光利一

◆漫画◆
夢喰見聞 / 真柴真
天使禁猟区 / 由貴香織里

◆音楽◆
ナルシス・ノワール / ALI PROJECT
八月の秘密 / THE BACK HORN
dilettante / ALI PROJECT
証拠 / 人格ラヂオ
森羅万象 / 姫神
陰陽珠玉 / 陰陽座
Elysion?楽園幻想物語組曲? / Sound Horizon
神曲 / あさき

◆その他◆
沙耶の唄 / Nitro+ (PCゲーム)
CASSHERN (映画)




※以下はこれからレビューしたいなーと思っている作品のストックです。
見たいものがありましたら、拍手等で教えて下さると更新順が繰り上がるかも知れません。※

・DADADA ISM/Yapoos ・白虎野/平沢進 ・乱歩地獄 ・草の花/福永武彦 ・ライチ光クラブ/古屋兎丸 ・FLOPPY/FLOPPY ・マヂック・オペラ/山田正紀 ・X/CLAMP ・金田一少年の事件簿/金成陽三郎・さとうふみや ・ポセイドン変幻/赤江瀑

きままに増えたり減ったりします。
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この地に生まれた、愛する人々に捧ぐ。


二年半ほど放置を続けてしまったこのブログですが、今日からまたちまちま作品紹介して行きたいと思います。
昔の紹介文とかちょっと拙くて恥ずかしいんですが、敢えてそのままにしておこうかなと……笑
そして、久々過ぎる二年半ぶりの更新は、紀里谷和明監督の「CASSHERN」で始めてみようかなと思います。賛否両論激しかった問題作ですが、ここまで評価が真っ二つに分かれるからには何かあるなって感じですよね。
実は一年ほど前にアマゾンのレビューも書いちゃったりした作品なのですが、まあそれは良いとして。笑


そこは、我々が歩んできた歴史とは全く異なる歴史を歩んできた世界。対戦は五〇年も続き、世界は大亜細亜連邦共和国とヨーロッパ連合という、ふたつの陣営に分かれていた。長い戦いの末に、大亜細亜連邦共和国は勝利し、東アジアのユーラシア大陸一帯を支配するに至った。しかし、その勝利で得た物は人心の荒廃に、化学兵器、細菌兵器、核がもたらした薬害やウィルス、放射能などの後遺症と荒れた大地だけであった。
人類は座して緩やかな終焉を迎えるだけなのか? 再生の道はないのか?

解決策を提唱する人物がいた。東博士だ。彼は人間のあらゆる部位を自在に造り出す「新造細胞」理論を提唱、学会で援助を仰ぐ。東博士は重い病に苦しむ妻ミドリのために、この研究をどうしても実用化したかったのだ。既得権を奪われまいと、博士の理論を却下する保健省。しかし、その理論を私欲のために利用しようとする軍関係者の援助により、研究は始まった。

そして故意か必然か、実験場から生まれた新生命体・新造人間。人類は神の領域へと踏み込んだのだ。しかし、人類を救済するはずだった「新造細胞」は、人類へ滅びの道を歩ませようとしていた…。
(公式パンフレットよりあらすじ抜粋)



紀里谷監督と言えば、宇多田ヒカルのPVで有名です。
かく言う私も「travelling」のPVが大好きで、今でもカラオケに行くと結構PV見たさに歌ってしまう程です。
そして言わずと知れたヒーロー作品「キャシャーン」の映画化……と言うよりもオマージュ、がこの作品です。キャシャーンの「映像化」ではありません。その点はっきり了承しておかないと、キャシャーンファンの方は肩透かし食らうかも知れません。

この映画の一番の見どころは、何と言っても映像美です。
どことなく戦後日本のアングラ臭を漂わせながらも高度にハイテク化された都市や古城などのデザインはそれだけで鳥肌級だし、実写とCGの融合も違和感無し。薄暗いコントラストも作品に良くマッチしていて、何より映っている人間が美しい。実写の映画を見る際に人間が美しい(体温の無い美しさ、って言うのかな)なんて感じることは滅多にないのですが、そう言う意味でちょっと文章的な映画かも知れません。生身の人間が動いている映像なのに、温度が無くて硬質なんですよね。非常に新鮮でした。


そして台詞回し。
映画理論は少し齧った程度なのですが、ヒューゴー・ミュンスターバーグの著書中にこんなことを述べた箇所があります。

演劇は「言葉によって知性に訴え掛ける芸術
映画は「行動によって情動に訴え掛ける芸術

勿論ここで言う演劇と言うのは所謂正統演劇のことで、ミュージカルなどとは区別されるものなのですが、まあそれは置いておいて。
この「CASSHERN」と言う作品は、良くも悪くも台詞回しが印象的な作品です。
映画玄人は台詞で心情を説明する映画なんてもっての外、と感じるかも知れませんが、私的にはこの作品はギリギリのラインで映像表現と言語表現の均衡が取れてしまっているのでは無いかなと思います。そう考える一つの要因が先程も書いたかと思いますがこの作品が「文章的」であると言うこと。何をもって文章的と言うか?と聞かれると困ってしまうのですが。しかし言葉の表現するところが大きいとは言え、演劇に近いかと言われると映画的表現を多用しているところからそれも違う。
まあ……均衡が取れているとしか言いようが無いのですが(笑)、そうだな、戯曲を読んでそれを脳内で映画化するとこうなるのかも知れない。個人的には新鮮に映りました。


最後にストーリー。
良く反戦ものとして紹介されることが多いようですが、多分観れば分ると思うのですが決してそれだけじゃありません。
反戦・非戦を超えて、人間に対する深い嘆きと祈りを受け止めました。
アマゾンのレビューにも書いたことではあるんですが、放映前のCMでやたらと流れていた「キャシャーンがやらねば誰がやる」と言うキャッチフレーズ。
けれども何のことは無く、キャシャーンがやっても出来ないことだってあると言う話でした。
不死身のヒーローは不死身なだけです。万能ではありません。一人で全ての憎しみや悲しみの連鎖を断ち切れる訳が無い。


高校時代に観て、非常に感銘を受けた作品でした。
音楽も素晴らしく、サウンドトラックも購入済。そして何より制作陣の作品への愛情が随所から(例えば初回版DVDの全員サービスの絵コンテ集、初回版DVDと同じ仕様の美麗な三冊組パンフレット、などなどなど)感じられたのがファンとして一番嬉しいところではありました。

万人にお奨め出来る映画ではありません。
ただ、是非一度は観て欲しい。私にとっては無二の宝物のような映画です。


 
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もし きみきみ はねははえました?



ポップンミュージック・ギターフリークス・ドラムマニアなどの、ゲームセンターに置いてある所謂「音ゲー」に音楽を提供し、一部のコアな方々から(笑)絶大な支持を誇る「あさき」氏のアルバムです。
そちらの方面のファンの要望に答えてのアルバム発売!と相成ったらしいのですが、それではこのアルバムの存在を知っているのは勿論ポップン・ギタドラファンのみ、と言うことになってしまいますよね。
それが勿体無かったので是非宣伝したいと思いまして 笑
まあこんな辺境ブログで紹介したって微々たるものですが(しかも発売は一年近く前だし)、とりあえず良いものは全部紹介したい!的な意気込みで紹介してみたいと思います。

そもそも私があさきのファンになったのは、友人とゲームセンターでポップンミュージックをやっていた時に、非常に可愛いキャラクターが目に付いたのがきっかけです。
「雨人形壱之妙」と云うキャラクターだったのですが(↓)

ichinomyou.gif


彼女がモチーフキャラクターとしてあしらわれている楽曲があさき氏の「幸せを謳う詩」だった訳です。
まあそんなのはどうでも良い話ですが、とにかくそこで逢ったが百年目でした。「……この曲は!」と思ってがっちりCDゲットしてしまいました。

端的に言うならば、ダーク和ロック、です。
かと思えばジャズっぽいのも入っていたり、かなり変幻自在なアルバムではあるのですが、装丁にも和紙を使っていたりするだけに全編通してレトロな湿っぽさに包まれています。かと思えば聞き終わった後に意外に清涼感が残ったり。とにかく不思議なアルバムです。
ここでぐだぐだ説明するのも何ですので、一曲一曲ちょっとずつ歌詞を抜粋しながら紹介してみようと思います。


01 蛹
02 蛍
03 幸せを謳う詩
04 この子の七つのお祝いに
05 予後の音
06 月光蝶
07 赤い鈴
08 雫
09 神曲
10 空澄みの鵯と



01 蛹

「綺麗ナー」と 母は見てくれた
ひらひら ひらひら 千枚羽
相も変わらず唄を歌う でも音がないね 母様


演奏開始直後から度肝を抜かれること間違いなしです。
一曲目からやってくれます。怖いし。笑


03 幸せを謳う詩

ごらんあれ!歓楽だ!愉快な至楽キネマ!

四曲目の「この子の七つのお祝いに」と一続きの物語になっています。
二つ続けて聴くと程好く脳内がドログシャになります。


04 この子の七つのお祝いに

女「耳 鼻 目 口 髪の毛一本 誰にもやらぬ!」
狐「おまえが望んだ幸せ ひとつも ひとつも 叶わぬ」


この曲の発狂ぶりはただごとじゃないです。
歌詞カードを見てまず十人中八人はびびると思います。「長ッ!」と。笑
その長い歌詞を五分程度で全て歌いきる訳ですからもうほとんど早口言葉です。しかしメロディーが無い訳では無いと言うかメロディーも凄まじいです。とにかく新しかった。軽く脳内革命が起こりました よ!笑
こう言う曲を作られると意地でもカラオケで完璧に歌ってやりたくなるのが人の性 笑


07 赤い鈴

ある朝 彼はお偉いさん
「君は僕がいなくても平気ですか?」


素で泣きました。
レトロモダンな旋律がもの悲しさを助長しています
歌詞センスもこの曲が抜きん出ているような。
戦争に引き裂かれた男女の物語、なのかな?


08 雫

「山紫水明だ」
と目深帽子
ねえ ここがいいね
垂れ 声あげた


旋律が鳥肌立つくらい綺麗です。
とても悲しい歌詞なのに何故か悲しさよりも清涼感が先に来る、そんな曲。


09 神曲

呪いの唄 口ずさみて
女は びっちゃら びっちゃら と泳ぐ


アルバムのタイトルにもなっているだけあって壮大……どころの騒ぎじゃない、底の見えない奈落のような曲です。笑
途中に入る囃子の様な旋律がもう頭から離れない。
いっそうもう神々しいです。



紹介しなかった曲も全てお勧めなのですが、これ以上書くとうざったいような気もしますし野暮ったい感じもしますので、これはもう是非聴いてみてくださいと言うほかないです。

ただ、好き嫌いが別れるアルバムだとは思います。
好きな人は死ぬほど好きだろうし嫌いな方には全く何の魅力も感じられないだろうと思います。
しかし、音楽では終ぞ体験したことのないような奈落を見られる機会だと言うのも確かです。和でダークで言葉は悪いですがどことなくイっちゃってるようなものが好きな方は、聴かないと嘘!です。笑



通販はこちらからやってるみたいです。↓

asaki2.jpg

bishou.jpg



「ほら、羽根から視線を脱した瞬間、廻つてゐることが分かるでせう。
僕もいま飛び出したばかりですよ。ほら」




今回は横光利一の「微笑」について書いてみようかと思います。
元々横光利一と言う名前は、軽く耳に挟んだことはありましたが全く興味の範疇外で、今回のような不思議なめぐり合わせが無ければ多分一生読まなかっただろうと思うのです。
不思議なめぐり合わせとはなんぞやと言いますと、後でこちらもこのブログで紹介しようと思っているのですが「乱歩地獄」と言う映画を観た後で、是非原作を読もうと言うことで江戸川乱歩の「鏡地獄」を探したのがきっかけだったのでした。
「鏡地獄」は、大学の図書館では「日本のSF」と言うかなり分厚い本の中にのみ収録されていたのでそれを借りて読んだのですが、その中にこの話が入っていたのです。
まあ、「SF集」と銘打ってある割には五割方SFとは言い難いような作品集だったのですが 笑

この「微笑」と言う作品も、SFとは言い難い作品ですが何故かSFに分類されているようです。
私はSFは好きでない方なので、この「SF集」に手を出すのは躊躇われたのですが読んで良かったです。SF嫌いな方にもお勧め出来ます、「日本のSF(古典編)」。笑 乱歩始め正史、夢野久作に小栗虫太郎、谷崎潤一郎に川端康成稲垣足穂太宰治、と錚錚たる顔ぶれが、一般に知られている謂わば「名作」とは異なった趣向で楽しんで書いているのが垣間見える興味深い作品目白押しです。笑


さて、そんなSFの話はどうでも良くて、この「微笑」と言う短編の内容について軽く触れてみようと思います。


帝大の学生で数学の天才、その才能を買われて横須賀の海軍へ研究生として引っこ抜かれた「栖方」。持ち前の頭脳で着々と海軍内での権力を手にし、果ては敗戦に傾いて来ている日本を救う「ある光線兵器」をも開発中だと言う彼が、何の因果か主人公である(多分小説家か物書き関連だと思う)「梶」の色紙を欲しがっていて、近い内に梶の元を訪ねると言います。
数学の天才だと言うその青年とはどんなものだろうと心ときめかせて待つ梶の元に現れたのは、少年のように無邪気に笑う、弱冠二十歳で博士になったとは到底思えないほどの幼い青年でした。
国家機密を抱えて「ある光線兵器」を開発していると「自ら宣言している」栖方は、もし戦争に負けたとすれば勿論立場を無くし、勝ったとしても回りすぎる頭を持った彼は危険視されて抹殺されるのが関の山だと梶は危ぶみます。しかし、そんな危険を抱えながら栖方の笑顔には愁いの一点も見付からなかったので、それがより一層気に掛かって梶の意識は栖方の方へと傾いていきます。
ところが、栖方と度々会うようになってから暫くしたある日、憲兵が「栖方は発狂しているから、彼の言いふらして歩くことは一切信用するな」と言って来ます。
梶は混乱します。
今までの「ある兵器」を開発していると言う話も、体験談や自らが書いたと言う論文の話も、全て虚言であったのか、と。
迷った挙句、「栖方のことはこちらでも狂人として扱う」、即ち栖方の話すことの信憑性は一切問わずに話しを合わせる方針を採ることに決めます。
果たして栖方が言うことの何処までが真実で何処までが虚実なのか、それは最後の最後にちらっと明かされますから是非読んで欲しいのですが、最後近くの数行が忘れられません。


「けれども、君、あの栖方の微笑だけは、美しかつたよ。あれにあふと、誰でも僕らはやられるよ。あれだけは―――」
 微笑といふものは、人の心を殺す光線だといふ意味も、梶は含めて云つてみたのだつた。それにしても、何より美しかつた栖方のあの初春のやうな微笑を思ひ出すと、見上げてゐる空から落ちて来る者を待つ心が自ら定つて来るのが、梶には不思議なことだつた。




是非家に置いて置きたい本です、定期的に読みたくなる。哀しくて綺麗で爽やかで残酷な、肌理細やかな短編です。おすすめ。

横光利一と言う作家自体今ではそれほど読まれないようですが、この作品などはまさに埋もれてしまった名作、そんな呼び名が相応しい気がします。現在では「機械・春は馬車に乗って」と言う題の短編集に収録されているものを入手するのが一番簡単かと思われます。
「機械」と言う短編も傑作中の傑作ですので、これも是非。笑


 
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鳥は殺さなきゃだめなんだ、
鳥を殺さなきゃ俺は俺のことがわからなくなるんだ、



芥川賞受賞作・村上龍「限りなく透明に近いブルー」です。
別に耽美小説でもなんでもないんですけど、授業の一環で折角書評書いたので保存しておこうかと。笑
ただ真面目に書評が書けない人種らしいです。凄い駄文になってしまいました。審査委員とかには罷り間違ってもなれません。笑

ちょっと長いかも知れませんが載せてみますねー



 硝子に映る世界

 この本のタイトルである、「限りなく透明に近いブルー」から推測される物語を、本書は完膚なきまでに裏切っていると言える。どちらかと言えば内容としては「限りなく黒に近い混色」とでも言った風であるのに、だがしかし読後に思い返してみれば、「限りなく透明に近いブルー」と言うタイトルに相応しい、不思議な清涼感のある作品だったことに気付くのだ。汚いものの中に綺麗なものがたった一つ置かれているのと同じように、原色の氾濫する本書の中で描かれる透明と言う色の清涼さは、思わずはっとする程に激しい印象を残す。
 しかし、本書が新人賞の選考委員にこぞって「清潔」と評されたと言う原因は、単に透明の描写が際立ったからではない。それならば、この清潔感・清涼感は、一体どこから来るのだろうか。
本書は、米軍基地近くで繰り広げられる若者達の乱行を描いた作品である。その情景には過剰なまでの刺激が満ち溢れ、感覚が麻痺してしまいそうなくらいである。音、匂い、触感、そして色。やかましく鳴るレコード、電車の騒音、腐ったパイナップルの匂い、アイスピックで指を突く痛み、潰したゴキブリから溢れ出る原色の液。本書に氾濫する感覚の描写は、そのどれもがうんざりするほどの生々しさを持って読者の感覚に訴えかける。
 しかし、本書を読み進めて行く内に、それらの生々しく直接的な描写とは逆に、全体が非常に茫漠とした非現実感に包まれていることに気付くだろう。勿論、セックスやドラッグ、暴力などが横行する世界自体が、非日常性を高めていることは確かである。しかし、それとは別に、本書の殆どを覆うこの非現実感はどこから来るのか。それは、主人公であるリュウの、圧倒的な受動性からである。
 リュウはただひたすら自分を取り巻く情景を眺めている。「眺めている」だけで、彼は自らの意思で外界に干渉することを殆どしない。まるで彼自身一個の感覚器であるかのように、常に冷淡な目を持って場を鑑賞している。色の描写も音の描写も、他の登場人物の台詞も彼に働き掛ける人間の動作も、果ては彼自身の動作でさえも全て一緒くたになって地の文に並列されている。彼の冷淡な目によって全てが均された描写の中で、私たち読者はスクリーン越しに光景を眺めているような、現実から剥離した感覚を覚える。外界がいくら喧騒に包み込まれようと、リュウの心中はひたすら静謐である。ここに一種の清潔感・清涼感を見出せる。
 しかし、そんな風にして静謐な世界で外界をただ見詰めているだけだったリュウにも、ある日変化が訪れる。大きな黒い鳥が彼を覆ったからだ。彼はそこで初めて、自らの内なる世界に動揺を走らせる。そしてその動揺は波紋が段々と広がって行くように、遂には外界へ向かって発露する。本書の中で、リュウが感情を発露したこの場面だけが唯一動的だ。そしてそれは、静謐さに満ちた世界の中で激しさを持って際立つ。黒い鳥、と言うモチーフを用いて描かれる様は妙に非現実的なのに、リュウが外界に働き掛けるこの場面には、他の現実的な場面で感じなかった「体温」のようなものを唯一感じる。その温もりを残したままラストで彼が語る「限りなく透明に近いブルー」には、閉塞感に満ち満ちた世界から、強すぎる刺激で麻痺した感覚を解き放ってくれるような、そんな力がある。
 ただし、透明な清涼感に打たれたからと言って、彼の物語はハッピーエンドでは終わらない。白い起伏を映した硝子はすぐに曇ってしまったし、彼は黒い鳥から逃れる為に何をする訳でもない。ただ、鳥が舞い降りて来るのを待つだけだ。凝っと暗闇の中で捨て置いたパイナップルを見詰めながら、彼はそこから動かない。最後にリリーに宛てた手紙で、「こんな小説を書いたからって、俺が変わっちゃってるだろうと思わないでくれ。俺はあの頃と変わってないから」とリュウ本人が書いている通り、彼は最初から最後まで何も変わっていない。一瞬感じた体温は消え、また世界は静謐さの中へ沈んで行く。嘆くでもなくそんな世界を受け入れてきた彼は、既に硝子のような存在なのではなかっただろうか。
 いくら世界が千紫万紅でも、それを映す媒体が透明であったならば、この清潔感・清涼感にも頷ける。「なだらかな白い起伏」を自分自身に映してみたいと願った彼は、母親の庇護の元できれいなものしかその身に映さなくて済む子供のように、絶えず感覚を強烈に刺激される世界から、安全で穏やかな世界に回帰したかったのかも知れない。



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