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「ほら、羽根から視線を脱した瞬間、廻つてゐることが分かるでせう。
僕もいま飛び出したばかりですよ。ほら」




今回は横光利一の「微笑」について書いてみようかと思います。
元々横光利一と言う名前は、軽く耳に挟んだことはありましたが全く興味の範疇外で、今回のような不思議なめぐり合わせが無ければ多分一生読まなかっただろうと思うのです。
不思議なめぐり合わせとはなんぞやと言いますと、後でこちらもこのブログで紹介しようと思っているのですが「乱歩地獄」と言う映画を観た後で、是非原作を読もうと言うことで江戸川乱歩の「鏡地獄」を探したのがきっかけだったのでした。
「鏡地獄」は、大学の図書館では「日本のSF」と言うかなり分厚い本の中にのみ収録されていたのでそれを借りて読んだのですが、その中にこの話が入っていたのです。
まあ、「SF集」と銘打ってある割には五割方SFとは言い難いような作品集だったのですが 笑

この「微笑」と言う作品も、SFとは言い難い作品ですが何故かSFに分類されているようです。
私はSFは好きでない方なので、この「SF集」に手を出すのは躊躇われたのですが読んで良かったです。SF嫌いな方にもお勧め出来ます、「日本のSF(古典編)」。笑 乱歩始め正史、夢野久作に小栗虫太郎、谷崎潤一郎に川端康成稲垣足穂太宰治、と錚錚たる顔ぶれが、一般に知られている謂わば「名作」とは異なった趣向で楽しんで書いているのが垣間見える興味深い作品目白押しです。笑


さて、そんなSFの話はどうでも良くて、この「微笑」と言う短編の内容について軽く触れてみようと思います。


帝大の学生で数学の天才、その才能を買われて横須賀の海軍へ研究生として引っこ抜かれた「栖方」。持ち前の頭脳で着々と海軍内での権力を手にし、果ては敗戦に傾いて来ている日本を救う「ある光線兵器」をも開発中だと言う彼が、何の因果か主人公である(多分小説家か物書き関連だと思う)「梶」の色紙を欲しがっていて、近い内に梶の元を訪ねると言います。
数学の天才だと言うその青年とはどんなものだろうと心ときめかせて待つ梶の元に現れたのは、少年のように無邪気に笑う、弱冠二十歳で博士になったとは到底思えないほどの幼い青年でした。
国家機密を抱えて「ある光線兵器」を開発していると「自ら宣言している」栖方は、もし戦争に負けたとすれば勿論立場を無くし、勝ったとしても回りすぎる頭を持った彼は危険視されて抹殺されるのが関の山だと梶は危ぶみます。しかし、そんな危険を抱えながら栖方の笑顔には愁いの一点も見付からなかったので、それがより一層気に掛かって梶の意識は栖方の方へと傾いていきます。
ところが、栖方と度々会うようになってから暫くしたある日、憲兵が「栖方は発狂しているから、彼の言いふらして歩くことは一切信用するな」と言って来ます。
梶は混乱します。
今までの「ある兵器」を開発していると言う話も、体験談や自らが書いたと言う論文の話も、全て虚言であったのか、と。
迷った挙句、「栖方のことはこちらでも狂人として扱う」、即ち栖方の話すことの信憑性は一切問わずに話しを合わせる方針を採ることに決めます。
果たして栖方が言うことの何処までが真実で何処までが虚実なのか、それは最後の最後にちらっと明かされますから是非読んで欲しいのですが、最後近くの数行が忘れられません。


「けれども、君、あの栖方の微笑だけは、美しかつたよ。あれにあふと、誰でも僕らはやられるよ。あれだけは―――」
 微笑といふものは、人の心を殺す光線だといふ意味も、梶は含めて云つてみたのだつた。それにしても、何より美しかつた栖方のあの初春のやうな微笑を思ひ出すと、見上げてゐる空から落ちて来る者を待つ心が自ら定つて来るのが、梶には不思議なことだつた。




是非家に置いて置きたい本です、定期的に読みたくなる。哀しくて綺麗で爽やかで残酷な、肌理細やかな短編です。おすすめ。

横光利一と言う作家自体今ではそれほど読まれないようですが、この作品などはまさに埋もれてしまった名作、そんな呼び名が相応しい気がします。現在では「機械・春は馬車に乗って」と言う題の短編集に収録されているものを入手するのが一番簡単かと思われます。
「機械」と言う短編も傑作中の傑作ですので、これも是非。笑


 
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鳥は殺さなきゃだめなんだ、
鳥を殺さなきゃ俺は俺のことがわからなくなるんだ、



芥川賞受賞作・村上龍「限りなく透明に近いブルー」です。
別に耽美小説でもなんでもないんですけど、授業の一環で折角書評書いたので保存しておこうかと。笑
ただ真面目に書評が書けない人種らしいです。凄い駄文になってしまいました。審査委員とかには罷り間違ってもなれません。笑

ちょっと長いかも知れませんが載せてみますねー



 硝子に映る世界

 この本のタイトルである、「限りなく透明に近いブルー」から推測される物語を、本書は完膚なきまでに裏切っていると言える。どちらかと言えば内容としては「限りなく黒に近い混色」とでも言った風であるのに、だがしかし読後に思い返してみれば、「限りなく透明に近いブルー」と言うタイトルに相応しい、不思議な清涼感のある作品だったことに気付くのだ。汚いものの中に綺麗なものがたった一つ置かれているのと同じように、原色の氾濫する本書の中で描かれる透明と言う色の清涼さは、思わずはっとする程に激しい印象を残す。
 しかし、本書が新人賞の選考委員にこぞって「清潔」と評されたと言う原因は、単に透明の描写が際立ったからではない。それならば、この清潔感・清涼感は、一体どこから来るのだろうか。
本書は、米軍基地近くで繰り広げられる若者達の乱行を描いた作品である。その情景には過剰なまでの刺激が満ち溢れ、感覚が麻痺してしまいそうなくらいである。音、匂い、触感、そして色。やかましく鳴るレコード、電車の騒音、腐ったパイナップルの匂い、アイスピックで指を突く痛み、潰したゴキブリから溢れ出る原色の液。本書に氾濫する感覚の描写は、そのどれもがうんざりするほどの生々しさを持って読者の感覚に訴えかける。
 しかし、本書を読み進めて行く内に、それらの生々しく直接的な描写とは逆に、全体が非常に茫漠とした非現実感に包まれていることに気付くだろう。勿論、セックスやドラッグ、暴力などが横行する世界自体が、非日常性を高めていることは確かである。しかし、それとは別に、本書の殆どを覆うこの非現実感はどこから来るのか。それは、主人公であるリュウの、圧倒的な受動性からである。
 リュウはただひたすら自分を取り巻く情景を眺めている。「眺めている」だけで、彼は自らの意思で外界に干渉することを殆どしない。まるで彼自身一個の感覚器であるかのように、常に冷淡な目を持って場を鑑賞している。色の描写も音の描写も、他の登場人物の台詞も彼に働き掛ける人間の動作も、果ては彼自身の動作でさえも全て一緒くたになって地の文に並列されている。彼の冷淡な目によって全てが均された描写の中で、私たち読者はスクリーン越しに光景を眺めているような、現実から剥離した感覚を覚える。外界がいくら喧騒に包み込まれようと、リュウの心中はひたすら静謐である。ここに一種の清潔感・清涼感を見出せる。
 しかし、そんな風にして静謐な世界で外界をただ見詰めているだけだったリュウにも、ある日変化が訪れる。大きな黒い鳥が彼を覆ったからだ。彼はそこで初めて、自らの内なる世界に動揺を走らせる。そしてその動揺は波紋が段々と広がって行くように、遂には外界へ向かって発露する。本書の中で、リュウが感情を発露したこの場面だけが唯一動的だ。そしてそれは、静謐さに満ちた世界の中で激しさを持って際立つ。黒い鳥、と言うモチーフを用いて描かれる様は妙に非現実的なのに、リュウが外界に働き掛けるこの場面には、他の現実的な場面で感じなかった「体温」のようなものを唯一感じる。その温もりを残したままラストで彼が語る「限りなく透明に近いブルー」には、閉塞感に満ち満ちた世界から、強すぎる刺激で麻痺した感覚を解き放ってくれるような、そんな力がある。
 ただし、透明な清涼感に打たれたからと言って、彼の物語はハッピーエンドでは終わらない。白い起伏を映した硝子はすぐに曇ってしまったし、彼は黒い鳥から逃れる為に何をする訳でもない。ただ、鳥が舞い降りて来るのを待つだけだ。凝っと暗闇の中で捨て置いたパイナップルを見詰めながら、彼はそこから動かない。最後にリリーに宛てた手紙で、「こんな小説を書いたからって、俺が変わっちゃってるだろうと思わないでくれ。俺はあの頃と変わってないから」とリュウ本人が書いている通り、彼は最初から最後まで何も変わっていない。一瞬感じた体温は消え、また世界は静謐さの中へ沈んで行く。嘆くでもなくそんな世界を受け入れてきた彼は、既に硝子のような存在なのではなかっただろうか。
 いくら世界が千紫万紅でも、それを映す媒体が透明であったならば、この清潔感・清涼感にも頷ける。「なだらかな白い起伏」を自分自身に映してみたいと願った彼は、母親の庇護の元できれいなものしかその身に映さなくて済む子供のように、絶えず感覚を強烈に刺激される世界から、安全で穏やかな世界に回帰したかったのかも知れない。



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「代ちゃん、あばね!」



言わずと知れた横溝正史の、初期の作品の中から選って「鬼火」を紹介してみます。
元々は、タイトル「鬼火」で文庫が発行されており、「蔵の中」「面影双紙」などが収録されていた模様なのですが、今現在発行されているものはタイトル「蔵の中」となっており、鬼火と言うタイトルでは発売されていません。「蔵の中」と言う作品集の中にこの作品が載っていますので注意して下さい。鬼火で探しても無い とか言うことになり兼ねないです。
私は横溝全集で読んだので預かり知らぬところですが、まあそんなことがあるみたいです。笑 唯あるのなら全集で読むことをオススメ致します。全集ですと、当時検閲に引っ掛かって削除された文章がきちんと載っていますし、裏話なんかも偶に載ってたりします。横溝が乱歩のゴーストライターを務めたことがある、なんてエピソードも読めてお得ですよ、全集。笑


まあそれは取り敢えず置いておいて、作品について簡単に触れますと、
従兄弟同士である二人の男が、互いの迸る才気のために、嫉妬し合い、憎しみ合い、けれどもお互いに結局離れられずに、最期には双方破滅して行く哀しくも美しい物語です。

幼い時分から良く出来た子供であったこの従兄弟同士は、大人たちに賞賛され、競争心を焚き付けられ、計らずもお互いがお互いに反発心を覚えて行きます。
いつでもどこでもお互いにだけは屈するまいと頑なになる二人の、身を打ち滅ぼし兼ねないほどの相克心が、例えば片方が冬の湖に落ちた時、「お前が自分の子分になれば助けてやる」との言葉と共に差し出された従兄弟の手を意地でも取らず、やっと大人に救出され大熱を出して寝込むものの、意識を取り戻して第一声「お前に助けてもらった訳ではないから、お前の子分になる義理はないよ、良いね」と念を押すと言うようなエピソードを幾つか連ねることによって非常にリアルに描き出されています。

やがて二人は、持ち前の競争心から二人揃って画家になりますが、そこからお互い足を引き合って、転がるように奈落の底へと転落して行きます。
その転落の様は是非読んで確かめて頂きたいのですが、流石そこは耽美表現の旗手横溝氏、圧巻です。
救いの無い話ではありますが、読了感は非常に良いです。昇華された感じがします。笑

ここから一人よがりの感想になりますが、
こうしてお互い激しく憎み合い殺め合うような運命を背負わされた二人ですが、それでもどうしてもお互いから離れる術を持たなかったのは、決して持ち前の相克心からだけではなく、魂の奥深いところで「自分と同じ存在」である互いを強く求め合っていたからのように思います。
強く求め合っているにも関わらず、競うことでしかお互いの存在を確かめられなかった彼らの姿は、とても美しくて果敢なげです。
金田一シリーズしか読んだことないよ!って方には是非読んで欲しい中篇であります。


外に収録されている「蔵の中」は、亡くなった姉の面影を抱いて蔵の中で一人遊戯を続ける美少年が、ある危険な遊びを覚えそれに耽る内に破滅を迎える話です。これも秀逸な作品です。
「面影双紙」では、骨格標本を愛撫する少年の描写が非常に官能的だったのが印象的でした。笑


とにかく耽美、退廃、溢れんばかりの色気でもって魅せてくれます。
横溝は中高生の読み物じゃありません。
大人の読み物です。笑




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まつとしきかばいまかへりこむ




大導寺一族の末裔・静音は、幼なじみで新進の推理作家・藤枝直顕の願いで、遠縁の老婆・妙蓮院笑子を訪問した。直顕から静音の“顔”が彼女の話を聞き出すのに必要だと頼まれたからだ。二人を前にした老婆は、静音の顔を見て叫び声を上げた!老婆・笑子は、やがて自身の若かりし頃を語り始める―それは、静音の大叔父・乙音と直顕の祖父・清顕との死に彩られた悲恋の物語だった…。壮大なスケールで語られる絢爛たるミステリー・ロマン。
(「BOOK」データベースより)





栗本薫氏著の、大導寺家と言う平安時代から続く旧家の人々の愛憎劇を綴った「六道ヶ辻」シリーズの四作目?です。
一?三作目を飛ばして読んでしまったのですが、一読で虜になってしまいました。笑 強烈だった……!

ストーリーとしては、概ね上の「BOOK」データベースからの引用の通りなのですが、しかしあのストーリーをこう言う形で要約してしまうのも非常に無粋なことのような気もします。内容を紹介することすら無粋な気がしますが、まあ取り敢えずこの本の何が私を虜にしたかと言いますと、

ドロドロに絡み合った人間関係

です。これに尽きます。
女は女に恋しその女は男と友愛を結びその男は男に恋しその男は女に……ともう何がなんだかわからないくらい美味しい設定。
時代は昭和初期、戦争の暗い影が落ちる日本、没落して行く間際の華族社会。緩やかに破滅に向かう時代の中、世俗とは掛け離れた次元でみやびやかに繰り広げられる愛憎劇はいっそ官能的でした。

ですがそれ以前に、
物語の筋そのもの以前に私の心を捉えてやまなかったのが、二人の登場人物、主人公の妙連院笑子と裏の主人公と言っても差し支えないだろう大導寺乙音でした。
まず主人公の笑子。
何故彼女に惹かれたのかと言えば一言で言って自分と同じ匂いを感じたからです。要するに彼女が腐女子だったからです(うわあ)
乙音が清顕に対する恋情をあけすけに彼女に話す度に、彼らを題材にした官能小説を書いていたと言うのだからもう手に負えません。笑
そんなこんなで彼女に感情移入し過ぎた結果、彼女の一挙一動で顔に血が上ったり下がったり心臓が止まりそうになるほどショックを受けたりととても忙しかったです。笑
そしてもう一人、大導寺乙音。
殺伐とした時代にあってなおみやびやか、果敢なげなのに芯が強く燃え盛るような情熱を胸に秘めて生きた彼の姿は涙無しには語れません。
物語を最後まで読み進め、彼の秘めた情熱を理解出来たとき、もうもう苦しくて涙が止まりませんでしたよ……!そしてそれを踏まえてもう一度初めから読んだ時の切なさったら無いです。



複雑に絡み合っているようでいて結局は全てが単で純な綺麗な動機の元に収束する様は東亰異聞もかくやって感じですね。
これぞ美 って感じのストーリー展開・舞台設定・台詞運びには御見それしました。

戦争、と言う歴史に引き裂かれ時を止めた、不器用な少年少女たちの恋物語が現代においてどのように収束するのか、是非確かめてみて下さい。クオリティは保証します。笑




  
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――――異人屋敷に踏み込んだら二度と戻れないかも知れないが、
そこではまだ見たこともない光眩い色玻璃とかいうものが天窓いっぱいに嵌めこんであるそうな。
そんな怯惰と憧憬の間を行ったり来たり、
振り子のように揺れてばかりいたのが私たちの世代である。――――




久世光彦著、「昭和幻燈館」です。
一九八七年一二月五日初版発行。
発刊が今から遡ること二十年近く。
更に遡って、この本に書かれているのは、作者が少年であったころ、詰まり「戦中・戦後」の克明な「昭和史」です。
「あの年の夏は、いやに空が澄んで青かった。」と言う言葉を、実体験から吐き出せる世代の描く昭和譚の、何と美しいことか。


全一六編の短編です。
小説ではありません。著者の“宝物”の“蒐集(コレクション)”とでも言えば良いかも知れません。
その“宝物”とは、
例えば、或る少年の日に出逢った人攫いから嗅ぎ取った官能の匂い。
例えば、或る少年の日に街角にひっそりと棲んでいた「狂女」。
例えば、線路に飛び込んで夭折した美しい少女作家。
例えば、厳格な父親を彩る軍服のエロティシズム。
現在の日本ではとんとお目にかかれぬ仄暗い「日本の美しさ」。
日本人だったら誰しも服の袖にでもこっそり隠し持っている「暗い」モノへの憧憬、その憧憬の対象が昭和初期には凝縮されていたように思います。


一番印象的だったのが、「狂人」についての論。
横溝正史、江戸川乱歩、三島由紀夫に谷川俊太郎その他、
彼ら昭和の作家が描く「狂人」は、静かで悩ましくて文字通り狂おしくて、何処かしら甘やかです。
彼ら昭和の作家が描く「狂女」は、濃艶な匂いを感じさせる紅玉です。
戦後奇麗に均された街の中で「優しく」監禁されたそれらの狂おしい人々は、今になって歪んだ形で街へと徘徊を始めたのでしょうか。
昭和時代の書物に登場する愛すべき狂人たちは、現在の書物に氾濫する狂人とは似ても似つかないように思えます。
四方を真っ白な壁に囲まれ矯正器具を嵌められながら生きている「狂人」は、乱歩の描く湿った空気と暗い魂を持つ狂人とは根本的に違うのです。

―――とまあこれは私の感想ですが(笑)


奇麗なものを求めて何が悪いんだってなもんです。
連れ添って死に向かう男二人に垣間見る青い炎のような美、
確信犯の纏う凍り付くほどの軍服の艶、
貴族少女のまま死んで行った老婆の凄惨な恍惚、
美しいものはあの時代に溢れていました。
モラルと中途半端な奇麗事主義で押さえ付けられ廃れた、ある意味では“歪んだ”美が、この本には詰まっています。

きっと、美しい時代を経験したくて経験出来なかった人にとってのバイブルになると思います。


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